※ ケーブルは、1.5mペア、2.0mペア、2.5mペア、、、等0.5m単位でご注文可能です。(価格などお気軽にお問合せください)
(1)はじめに
発表から三年を経て、Q-10エクストは、
「Q-10エクストPremium」として生まれ変わります。
導体を倍量(2 x4AWG/ch)にすることによる情報量増大については初版によって実証済であり、もはや疑いのないところです。
反面、これほどの情報量を扱うケーブルには極めて高次のレゾナンス制御が必要になることも事実です。
その点に鑑みて、「Q-10エクストPremium」ではケーブル構築についてゼロから見直しが図られました。
(2)構築
その結果、2組のケーブルを纏めず、分離させて並行に配置したユニークな「デュアル・トラック構造」が採られました。
同時に、純正「ソリッドコア・インシュレータ」を、信号流路の入口、中間、出口に完全装着。
ソリッドコア・インシュレータは中心に非磁性体の鋼(Steel)を含むアルミ製で、ケーブルとの接触面にはドイツ製の高性能静音材(静音dB:欧州Class A評価)が敷きつめられています。
それは大情報量を扱う「Q-10エクストPremium」のために特別設計された強力なインシュレータであり、ケーブル外周に完全密着させ、上下からしっかりと締め付けることによって完璧な制震を実現させるのです。
ケーブルインシュレータはそのケーブルの持つ音響特性および長さを考慮して適切な部位に配置されなければなりません。
「Q-10エクストPremium」では、LサイズとSサイズの二種類のソリッドコア・インシュレータを併せて、
1.5mでチャンネルごとに3部位、2.5mから4部位、3.5mから5部位というように、ケーブルの長さによって微妙に変化するレゾナンスに即して、丁寧にインシュレーションが調整されます。
こうした新発想のケーブル構築によって、マイクロフォン効果や微振動、共鳴による解像度の低下および中低音域内の混濁を徹底的に締め出し、レゾナンス最適化を実現させているのです。
(3)試聴
製品版の試聴において確認された成果は、劇的なものでした。
背景の静かさ、空間の透明さがどれほど極められていたことでしょう。
その結果、直接音がホログラフィックに立ち上がってくるのです。
それはまさにフラッグシップ「Deity」を連想させる音質でした。
この導体がまさしくDeityの作者による設計であり、
両者には同じ血が流れていることをあらためて認識させられます。
A.低音域
Q-10導体のセールスポイントである重低音は、導体倍増により更なる量感が加わりますが、
それは一部の隙もなくコントロールされていて、膨張や混濁など、いかなる消極面も見出すことが出来ません。
オーディオファイルがひとつの尺度とするウッドベースは、あり余る重量感を持ちながら、極めてスピーディーです。
強く弾かれた弦が指板に跳ね返る音も生々しく響き渡ります。
低音再生の難題のひとつに、バッハオルガン作品の重低音があります。
「Q-10エクストPremium」による再生ではパイプオルガンの重低音は見事に分離し、音程を採ることを容易にします。
高域にあり、中音域にある透明な空気が、同様に低音域さえも支配しているのです。
B.中音域
ミッドレンジのジャズヴォーカルやソロヴァイオリンの実在感には目を見張ります。クラリネット低音域の丸みもたいへん立体的です。
とりわけ女性ヴォーカルはヴィブラートが深まり、肉声感および感情の伝達力が極めて強いものになっていました。
無伴奏チェロ(コダーイ作品)の峻烈かつ繊細な音のエッジが、どれほど部屋の空気を震わせたでしょう。
アコースティックギターのストロークは弦の1本1本が分離して聴き取られ、第6弦もバランスを保っていて、決して不自然にブーストされることがありません。(これがアキュレートということです!)
C.高音域
旧Q-10エクストとの相違は、わけても高音域に顕著といえます。
ジャズドラムにおけるシンバルの響きと輝きは眩しいばかりの迫力です。
一方ビル・エヴァンスの右手で繊細に叩かれるハンマーは、
フェルトの微妙な質感さえ伝えてきます。
ギターのハーモニクスはバッフル面から飛び出して、虚空に浮かぶのです。
二十世紀音楽の打楽器ソロを聴くなら、目の前に繰り広げられる音画の極彩色に目眩めくほどです。
D.まとめ
最後に、ぜひフルオーケストラでこのケーブルの総合バランスを試していただきたいのです。
マーラーの「千人」を実演できるホールを日本で探すのは困難なことと思います。
けれど、それを自分のリスニングルームで可能にするのがオーディオなのです。
その大地を揺るがす鳴動をさえ、リアルに聴感させてくれることでしょう。
「ダフニスとクロエ」の「夜明け」も、グローフェの「大峡谷」も、シェーンベルク「グレの歌」も、、、
「Q-10エクストPremium」が新たに獲得したエッセンスの数々は、日常のリスニングをこの上なく楽しく、また奥深いものにするでしょう。
(4)終わりに
Q-10エクストは鮮烈なブラック&ホワイトの外装も新たに、最強のプレミアムモデルとして新生しました。
そのケーブルデザインは、信号純化と音像の立体化のためのユニークな発想に満ちています。
この製品が完成型スピーカーケーブルの形態に新たな一石を投じるであろうことは、想像に難くありません。
(オーディオアクセサリー銘機賞2019受賞)
■Silver-coated 7N Crystal-Copper conductors (4x12AWG and 4x14AWG/channel) 、High grade PTFE dielectric、DH Labs’ Silver Lock Banana or Silver SP-10 Spade、Unique Dual-track construction、Solid-core Insulation technology、Black or White Outer jacket■シングル仕様又はバイワイヤ仕様
※備考欄にシングル仕様(アンプ側、SP側ともに2端子仕様)、
またはバイワイヤ仕様(アンプ側2端子、SP側4端子)をご指定ください。
(価格は同じです)
※アンプ側とスピーカー側のプラグ(バナナまたはYラグ)を必ずご指定ください。
※ケーブルの長さは1.5m以上、0.5m単位でご指定いただけます。(2.5m、3.5m等も可)価格等はメールでお気軽にお尋ねください。
※アンプ側も4端子にする等、特別な仕様はメールでご相談ください。
※トライワイヤ仕様のスピーカーには「Q-10エクストLinks」の併用をお奨めします。
< ご参考 >
これだけ導体量が増すとレゾナンス制御が新たに必要となるため
プラス、マイナスをまとめず、2本のままのデュアル・トラック構造を初めて採用。
非磁性スチールとアルミ製のソリッドコア・インシュレーターで連結されている。
その箇所や個数も、長さによって厳密に決定されている。
文句なしのワイドレンジで密度が高く、
どんな微小な信号も変質したり潰れたりせずに精密に出てくる印象だ。
音楽のニュアンスが桁違いのように豊かで鮮やかである。
ピアノでは表情の多彩なこと、この上ないほどで、
とりわけ弱音のタッチが際立って細かな響きに満ちている。
響き自体が生きているかのようだ。
また芯がしっかりして、質感がみっしりと詰まっている感触が強い。
そして強弱の格差が非常に大きいため、彫りが圧倒的に深いのだ。
オーケストラは解像度が目に見えて改善され、
同時にエネルギーの起伏が大変大きい。
このため音楽の充実度がまるで違ってくる。
空間の存在感も高い。
室内楽は手ざわりの生々しさが秀逸で、
強弱の凹凸の深さが利いている。
普段は気の付かないような音が出てくるため、
生の感触がいっそうリアル。
あらゆる点の鮮度が高い。
大変な情報量と精度と言わざるを得ない。
井上千岳氏評より抜粋(音元出版「ケーブル大全2019」)